ちょっと前
久しぶりにあるヤツと再会した
3年ぶりくらいだったかな
はっきり言って会いたくなかった
まさかと思った
そいつはすごく扱いにくいヤツだから
ちょっとでも接し方を誤ると大変なことになるから
何より
あんな屈辱的な思いは2度とごめんだと思っていた
絶対に会うまいと誓っていた
そいつに男としての尊厳をすべて打ち砕かれた
あの頃は一日に何度も顔を合わせていた
そのたびにヤツを受け入れざるを得なかった
悔しくて痛くて
いつも泣いていた
誰にも見せられない
恥ずかしい格好で
しかも鏡の前で
終わるとすぐに下着を身につけ
その場から逃げ出すのが常だった
付き合い自体は1ヶ月半くらいだったかもしれないけど
別れられた時は心の底から嬉しかった
自由だと思った
もう同じ過ちは犯さないと何度も決意した
ヤツの名前さえ忘れたはずだった
それなのにまた出会ってしまった
座剤
あの頃の記憶が一瞬にして蘇るインパクト
初めての出会いはジロウになった時だ
手術後の傷の痛みに耐えながら泣く泣く付き合っていた
時間がないからといきなり受け入れてしまった時は
傷口に触れて絶叫するほどの激痛が走った
とにかくこいつは扱いが難しい
ちょっとでも挿入角度がズレると
漏れ出してしまい大変なことになるのだ
鏡の前で狙いを定め
挿入しながら最適な角度を見つけ出し
直腸めがけて手早く照射するのがコツだ
再会から早2ヶ月
扱いには慣れたが屈辱感は相変わらず拭えない
でもあの頃とひとつだけ変わったことがある
前向きになったことだ
気持ちのことじゃない
鏡に向かう姿勢のことだ
あの頃は後ろからだったから・・・
こんな関係いつまで続くんだろう
早く別れたい
彼とはもう会いたくない
そう願いながらも
明日また病院で出会うことになる
しかも大量に
潰瘍性大腸炎
予想以上に難病だ